夢ネタ。紗倉まな『春、死なん』(講談社)を読んで。

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ブログを開いてみました。やり方もよくわからない。

とりあえず、今朝の夢ネタ。

僕は死刑場で順番を待っていた。手錠も腰縄もなくて、刑務官も隣に立っているけれど、威圧や暴力もなくて、すごく普通な空気感。いよいよ次が僕の番。小さなコルトの拳銃で、ルーティンのように、一人ずつこめかみを一発撃っている。その執行官の足下には何人もの人がおびただしい血を流しながら死にきれずに痙攣していた。まるで堤防のの上に釣り上げられた魚たちのように、断末魔の踊りを、踊り続けている。

 

痛そうだな、とか、苦しそうだな、とか自分の順番になってはじめて自分事になった僕は、すっかり諦めていたし、納得してもいたはずなのに、急に、

 

嫌だ! 死にたくない!

 

逃げ出して、追いかけられて、隠れて、見つかって、捕まるという夢。嫌な目覚めでしたね。で、夢の中でも、「これは夢だ」とどこかでわかっていて、死ぬ夢は悪い夢じゃないんだからちゃんと死んでおこう、とか冷静に考えていたりする。夢の中でまで打算的な自分に気分悪くなったりしていたのです。

 

昨日、駅前の書店で、紗倉まな『春、死なん』(講談社という新刊の小説を買ってきまして、寝る前に一気読みしたのですが、これがガーン(^▽^;)となるほどにすばらしい作品でして、老いとか死とか、そういうのをリアルに感じながら生きているということの生々しい描写がもうすごすぎて、こんなへんな夢を見ただけなんだろうなと思いました。

 

彼女はAV女優で、どれどれ~、どんなものを書いたのかのぞいてみたいなあ、なんていうゲスなスケベ根性で読み始めたんですけど、その圧倒的な作品世界に打ちのめされたのでした。僕もいつのまにか四捨五入すれば還暦のほうが近くなって、病気だらけになっていますし、主人公の70歳の男に近いのですが、彼に感情移入するのはなかなか難しくて、家族構成も経歴も違いすぎるからかもしれませんが、それよりも圧巻だったのは息子の嫁の里香でした。それ以上はここで言いません。ネタバレになってはもったいない。迷いながら、自分と折り合いをつけながら、誰かを愛したり、愛されたり、している人やしたいと思っている人には、おすすめできる一冊です。